MENU
今久保 隆博
Asian LABO代表
奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

好きなことが見つからない子ども【指示待ちが育つ理由】

「んー、わかんない」「べつに・・」「とくにないかな」。

子どもたちに、好きなことは何?とたずねた時に返ってくる応えの代表格です。

大人はどうでしょう。好きなことを聞かれた時、スパッと「これ」と応えられるでしょうか?「んー、時々〇〇はするけど、べつに・・」とか「むかしは〇〇をやってたけど、今はとくには・・」っぽい、子どもと同じような応えかたしてませんか?

私たちだって子どもの頃は胸を張って、好きなことや将来の夢を言えてたはずです。でも、いつからかそれを言わなく、言えなくなってしまうんです。

目次

好きなことが見つからない子ども【指示待ちが育つ理由】

子どもが今まで、好きなことが本当に見つかってなかったのかどうかっていうのが、まず疑問です。

親もそうだし、学校もそうかもしれないんですけど、とくに親は良かれと思って、子どもに少しでもいい環境を与えたいと思いますよね。

いい教育環境を与えたいと思ったり、早期教育をしたり、あれをやりなさいこれをやりなさいと。

型にはめていくって言ったらいいのかな、子どもが本当はやりたくないのに、これやってみたら?あれやってみたら?と、どんどん次から次へと与ていくことで、子どもは与えられることに慣れていきます。

子どもは違うことに興味があるのに、与え続けている側の親は「こっちきなさいよ」というふうになったりします。

子どもは本来、主体的なのですが、そういうことを繰り返すうちに、主体性を失っていきます。

好きなものが本当は見つかるはずだったのに、好きなものをやれないことに慣れていくっていうこともあるかもしれません。

親の善意と子のジレンマ

朝なかなか子どもが起きれなくて、起こしに行くことってありませんか?

遅刻しないか心配になって、わざわざ子どもの部屋に起こしに行くことがあると思います。これ、子どもが小さなうちはいいんですけど、だんだん大きくなってくると反抗するようになるんですよ。

「うるさい」って。

反抗するようになったとしても、親はこっちを向かせようとサービスを与え続けます。それを続けていくと、ついにはサービスの質に不満を言うようになってきます。

つまり、与えられる教育を続けていると、子どもは不満を言うようになり、不満を言うんだけど、それでも子どもは与えてもらいたいとなるんです。

ここのジレンマに入り込んでしまうと、本当にやりたいことが見つからない子どもが育ちます。

では一体どうすればいいんでしょうか?

失われた自己決定機会

大切なのは対話です。「どうしたい?」っていう一言。

例えば、これまで自己決定する習慣がなかった場合、どうしたい?って聞くと、なんでもいいとか、どっちでもいいというふうになってくると思います。

それでもいいんです。訊かれる経験がいままで無かったので、こんな感じの反応になるのは当たり前と考えていいでしょう。

それでも対話を続けて、訊かれる経験と、自己決定させる機会を積み上げることはとても重要で、自己肯定感を高めることに繋がっていきます。

子どもがやりたいと思って、自分で舵をきった時の強さっていうのは、与えられたものよりも何倍も力強いんです。

小さな芽を育てる

子どもとの対話を習慣化することによって、なにかあった時、子どもは訊かれるってことがわかるようになり、応えを準備するようになります。

また、どうしたい?なにしたい?を続けることで、子どもたちは「自分はなにしたいんだろう?」と悩みはじめるんですよね。

悩んでいる子どもに対して、家庭でも学校でも多くの大人は、これもあるし、あれもあるよと選択肢をたくさん示したり、よかれと思って手を差し伸べたりしてしまうと思いますが、悩みはじめた子どもは少しずつですが、自分でなんとかしようとする、いわゆる小さな「芽」を自分で育てます。

大人はその小さな芽を見逃さないことが大切です。その芽が出てきたらまた、対話を通して粘り強く一緒に寄りそってあげるようにしてください。

これは、教える授業よりも何倍も何倍も大変なことなんですよね、じつは。

まとめ

小学校低学年の子どもたちは、自分のやりたいことや好きなことを、聞いてもないのに話してくれることがあります。しかし年代が上がっていくと「んー、わかんない」「べつに・・」が多くなります。今の子どもたちへの教育は、たくさんの事を求め、限られた中から強制的に選択させ、しかも標準であることを求めすぎているように感じます。大人が与えていることが「本当に好きなこと」を見えなくしてしまい、好きなことや夢を語れなくなっているかもしれません。

もっと子どもたちの声を聴きましょう。あなたが思うほど、あなたの子どもは何も考えていないわけじゃないです。もしかしたら私たちよりも、もっと広い視野で周りを見ているかもしれません。子どもが持っている、生きる力や頑張ろうとする姿勢を支え、小さな芽が育つよう少し我慢して見守ってあげてください。

@次回は「自己肯定感を育てる、子どもの自己決定」をお伝えします。

この記事を書いた人

奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

コメント

コメント一覧 (8件)

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる