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今久保 隆博
Asian LABO代表
奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

部活動問題【どうなる?】

中学校の部活動が今後どのような姿に変化していくのか、多くの方が疑問を持っているのではないでしょうか。

9月28日早朝、長年に渡り生徒の指導に携わってこられた教育者に、部活動について素朴な疑問を投げかけてみました。

目次

部活動問題【どうなる?】

6つのトピックスについて、実に明確ではっきりとした口調で語られた内容は、私たちが近い未来の部活動の方向性を知る上で参考になるものだと思います。

  1. 部活動はこれからどう変わるのか
  2. 部活動の良い点
  3. クラブとの違い
  4. 地域移行への期待
  5. 保護者の声
  6. メッセージ

部活動はこれからどう変わろうとしているのか

Q : 部活動のクラブ化や、地域総合型クラブへの移行など、この地域でも近年話題になっています。これから学校部活動はどのように変わっていくとお考えですか?


二極化していくでしょうね。

一つは、縮小していく部活動です。

現行の部活動が、より限られた時間、限られた場所で行われるようになると思います。縮小していく部活動は、これまでの活動内容に何か新しいものを足していくというより、やらないことを決めていく作業が進められていくはずです。

そうなると、これまで部活動を選択していた生徒でも、スポーツに限らず、学校外の習い事を選ぶ生徒が増えてくると予想しています。

もう一つは、地域や外部機関と部活動との連携ですね。

生徒たちが引き続き同じ目標、考え方のもとで活動できるよう、地域や外部の機関と部活動が連携するような場が設けられるでしょう。

これまでの部活動が持っていたエネルギーというものは、日本のスポーツ界を支えてきました。

生徒たちは、同じ環境の中で明確な目標を掲げ、ともに切磋琢磨し育ってきました。いい意味での上下関係や規律、礼儀など最近では「古いもの」として考えられている日本人の良さも、この部活動で教育されてきたと思います。

これら部活動が持つ良い部分を無くすことなく、地域と連携し移行できる環境が確立されれば、とても嬉しいことです。

部活動の良いところ

Q : 日本全国の部活動には長い歴史があります。部活動の良い部分とは、いったいどういったものなのでしょうか?


これまで、多くの日本人の人格形成の場であったということです。

長い歴史の中で、非常に多くの日本人が部活動を経験してきました。部活動は、学校内で行われる活動として、安心感と健全な青少年育成環境として信頼を得てきました。

私たち世代は、学校内のこういった環境で、我慢すること、コミュニケーションのとり方、自分の役割などを肌身で感じ、学んできたと思います。

そいうった環境の中で、多くの日本人の人格が形成されてきたのは事実だと私は感じています。

クラブと部活動の違い

Q : 部活動とクラブの違いは「指導レベルの違い」ということをよく耳にしますが、明確な違いはどういった点にあるのでしょうか?


公式の試合でより上位を目指すという部分において、クラブも部活動も変わりはないと思います。しかし、両者の間には普段の活動の場において大きな違いがあります。

技術や戦術のレベルの向上を図るため、専門的にトレーニングを継続的に行う場所がクラブと言えるはずです。

もちろん部活動も競技力の向上を目指し活動していますが、クラブと比べると、より教育的部分が強いと言えます。それは、部活動が学校内で行われる活動なので、教員がとくべつ意識的に指導を行わなくても、規律や礼儀といったものが自然に生徒たちのベースにあるためだと考えられます。

部活動にはこれまで長い歴史があり、今なお健全な生徒たちの放課後の活動環境であることは間違いないでしょう。また各地域で活動しているクラブも同じく、生徒のニーズを満たす魅力がきっとあるのではないでしょうか。

しかし、クラブに通うには、送迎や費用などの問題があり、部活動には担当顧問にその種目の経験がない場合が稀にあったり、転勤などがあるということも考える必要がありますよね。

地域移行への期待

Q : 今後確実に部活動が地域へ移行されていくと考えられますが、地域移行に関してどのようなことを期待されていますか?


地域の優秀な人材に生徒たちの指導に関わってもらいたいです。

この地域にも過去、高いレベルでの指導経験や競技経験を持つ多くの人材が眠っています。その人たちにも協力を募り、生徒の活動の場をサポートしてもらいたいですね。

今後は教員、学校では生徒たちの活動が担保できなくなってきますが、単に学校ができないことを補うような仕組み作りではあまり意味がないと考えています。地域が一体となり、生徒たちの活動環境を提供する、持続性のある新たな仕組み作りが重要になってくると思います。

この地域移行は、一人で成し得ることはできません。地域住民をはじめ、保護者の協力や理解、そして何より情熱を持った指導員など、生徒を取りまく多くの人たちが関わる環境があってこそ、実現可能だと思います。

保護者の声

Q : 今後の部活動に関して、これまで寄せられた保護者の意見をお聞かせください。


残念ながら保護者の声が届いていないのが現状です。というより私たちが聞き出せていないというのが本音です。

私たちももっと努力して、オープンな環境を作り、保護者から未来の部活動に期待することを聞き出したり、地域移行へのアイデアを共有する場を設ける必要があるかもしれません。

とにかく多くの保護者の方々が、悩んでいることだと思います。皆さんの心配事を少しでも解消し、これからの部活動のより良い方向性を導き出せるようにしていきたいですね。

メッセージ

私も部活動の指導に長年携わってきましたが、1日24時間の中、教員が授業以外の場で、部活動の指導にかけるエネルギーというものは凄いものなんです。課外活動としての位置づけである部活動は、実技面の指導だけではなく、安全面や精神面においてのケアであったり、様々なトラブルにも対応していく必要があります。最近では、部活動そのものや、指導について取り上げられることが多いですが、これまで部活動というものが、教員の自己犠牲や献身的取り組みで支えられてきた事実も、ぜひ皆さんに知ってもらいたいですね。

そんな歴史ある部活動が、今後より良い方向に移行していくことを心より期待しています。


ユナイテッドでは、地域の部活動を支援する活動を継続して行っています。

この記事を書いた人

奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

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