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今久保 隆博
Asian LABO代表
奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

筋トレをやり過ぎると背が伸びない?

背が伸びる=骨が成長する

骨の成長は、骨の端っこにある骨端線(こったんせん)という軟骨細胞が増えて、それが徐々に骨になっていくことで、子どもの背は伸びていくそうです。

やがて、この軟骨細胞が完全に骨に置き換わる時期が来るそうで、そうなると骨の成長が止まり、身長の伸びが止まります。

そこで今回は、筋トレをし過ぎると背が伸びなくなるという、僕たち一般人にとって噂のような、都市伝説のような内容について専門家に聞いてきました。

【コトバンク】筋トレ:筋肉の発揮する力を強くするための運動。目的により種々の方法がある。レジスタンストレーニング。筋力トレーニング。

目次

筋トレをやり過ぎると背が伸びない?

今回は あつたの杜 整形外科スポーツクリニック 深谷ドクターにお話しを聞いてきました。


過度の筋トレは、筋肉の伸長性(伸び幅)が低下し、骨端線にストレスを与える可能性が高くなるため、骨端障害(成長痛)を発症しやすくなることがわかっています。

骨端線は身長の伸びに大きな影響を与えるので、身体が大きくなる時期にこれらの骨端障害を引き起こしてしまうような、負荷の大きい筋トレを続けて行うことは、成長線への影響を考えると、控えた方が良いという見解が多いです。

現状では、筋トレによって、身長の伸びが止まるかどうかは分かってはないという見解が主流です。

筋トレもやり方次第

中学生年代の自重トレーニング(自分の体重を負荷にして行う筋トレ)は良いと思います。また、小学生年代には体幹トレーニングを導入することは神経系の賦活にも繋がるため良いですね。

小学校の中〜高学年(9〜12歳ごろ)はゴールデンエイジと呼ばれています。ゴールデンエイジの時期に、神経系の発達はほぼ完了となり、様々な動作を習得するのが最も早い時期です。

この時期は運動連鎖を意識したコーディネーショントレーニングを積極的に行い、多くの動きを習得することで、その後の運動神経能力を飛躍的に伸ばすことができると言われています。

一方で、過度なアウター筋力トレーニング(バーベルなどで高い負荷をかけたり、マシンで特定の筋肉のトレーニングをしたり、ボディビル系のトレーニング)は骨端線に良くない影響が出るのでオススメできません。

【コトバンク】賦活(ふかつ):活力を与えること。物質の機能・作用を活発化すること。
【コトバンク】コーディネーショントレーニング

骨端線は二関節筋が大きく影響

例えば上腕二頭筋(力こぶの筋肉)は肘と肩をまたぐ二関節筋です。また、大腿四頭筋(太もも表側の筋肉)も股関節と膝関節をまたぐ二関節筋です。

人体の筋肉の中でも比較的大きな、これらの筋肉へ高い負荷を与えて鍛えようとすると、骨端線への影響を避けることが出来ません。

例えば、膝に発症する「オスグッド・シュラッター病」は二関節筋である大腿四頭筋の硬さと骨の成長のアンバランスから起こりますので、筋トレによってその発症を助長する可能性は否定できません。

【実は、ハムストリングス(太もも裏の筋肉)や下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)も2関節筋であり、これらの硬さも膝の成長痛の発症に関係しています】

ですので、本格的な筋トレは骨の成長がある程度落ち着く、中学生後期以降を勧めています。

先にも述べた通り、四肢関節に直接関係がなく、かつ動きの中で安定を制御する体幹筋は、小学生年代から意識して、トレーニングとは言わないまでも、運動連鎖の中で意識して行うことは、スポーツのパフォーマンス向上にも多いに役立つものだと思います。

ですから、これはスポーツだ、これは筋トレだという区別は考えずに、自分が思い描く良い動きができるように日頃から鍛錬するのが良いと思います。

【コトバンク】オスグット・シュラッター病
【コトバンク】体幹筋

あつたの杜 整形外科スポーツクリニック
院長 深谷泰士


まとめ

今回の深谷ドクターのお話しで、過度の筋トレは身長の伸びに良くない影響を与えることがわかりました。だからといって筋トレがダメというわけではなく、正しく筋に負荷をかけながら筋力を向上させることは、スポーツのパフォーマンス向上にも期待がもてるかもしれませんよね。最近13歳になって腕立て伏せや腹筋が出来ない子どもを近年多く見かけますが、スポーツ活動を行うために、ある程度の筋力を身につけておくことは怪我の防止にも繋がるはずです。

過度の負荷を避け、お子さまにとって最適な食事・休息・トレーニングのバランスを、もう一度よく考えみてください。一生お付き合いするような身体へのダメージは、子どもの時期に蓄積されている可能性があることも是非知っておきましょう。

この記事を書いた人

奈良県出身のサッカーの指導者。24歳から20年間名古屋グランパスエイトで、育成年代からトップチームまで全てのカテゴリーの指導を経験。独立後はフリーランスとして活動し、日本と中国でクラブ運営、指導者育成に携わる。2019年にAsianLABOを愛知県岡崎市に設立。2020年よりスクール運営やイベント企画など、青少年育成事業、社会教育活動を本格的に開始。

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