
アジアンラボの社会教育事業の一環として、サイレントリーグの普及活動を行っています。代表の今久保が2017年に考案した大会形式を継承し、愛知県岡崎市の龍北総合運動場で第1回大会が開催されました。
サイレントリーグは、指導者がベンチに入らず、すべて子どもたちが運営する大会です。

子どもだけのサッカー大会、約束は3つだけ
- 準備・片付けをすべて自分たちで行う。
- ウォーミングアップ・選手交代も自分たちで行う。
- 指導者は一切口を出さない。
大人は関わることができません。なので、子どもが主体的に動き、いろんなことを準備できなければ試合に大きな影響が出てしまいます。
実際に試合前の準備や選手交代で、もたつくチームも多く、子どもどうしのトラブルもあります。
でも、大人が一切口出しできないのが、サイレントリーグです。

教える人。支える人。それぞれの姿
大人が口出ししないだけで、試合の風景が一変します。子どもの試合を「見る」姿はどのように変化するのでしょうか?
一生懸命走る姿や、仲間と楽しそうにプレーする姿を見て、涙を流す保護者もいます。
普段は見せないわが子の別の側面を発見し、安心したと話してくれる保護者もいました。
自分に疑問を投げかけるように、これまでの指導を振り返りながら、話してくれる指導者がたくさんいます。彼らの言葉にはとても重みがあり、このサイレントリーグについて、本当の価値を改めて考えるきっかけをもらいました。
二極化する指導者
- 何かを学ぼうとする指導者。
- 出来ない子どもに苛立つ指導者。
二極化する保護者
- いつもと違う姿によろこぶ保護者。
- 楽しめず不満顔の保護者。

指導者のジレンマ
指導者の大半は、普段は見れない子どもたちの姿から何かを読みとり、自分の指導を振り返ろうとします。またサイレントリーグの改善点など、これからの子どものスポーツ環境に対する、建設的な意見を多く聞かせてくれます。
その反面、子どもの不器用さに苛立ちを感じ、自分が教えた通りにやろうとしない(できない)姿を厳しく批評する指導者もいます。多くの時間を費やした結果、自分の理想とはかけ離れた姿を目の当たりにし、苛立つ気持ちも一指導者として理解できます。
この違いがどこから来るのか、いまだに分かりません。この振る舞いがいいのか、よくないのかも、正直言うと分かりません。

保護者の声
来場するほとんどの保護者は楽しんでいるように見えます。そう見える理由は「子どもの声」だと断言できそうです。
- 「子どもたちだけで、こんなにしゃべれるんですね」
- 「試合中こんなにも味方へ指示を出す姿をはじめてみました」
- 「ベンチからの指示も多く、いろんなこと考えてるんだなって感心しました」
- 「いつもと違うかけ声を聞けて、すごく新鮮な気分でした」
などの声が聞かれ、僕自身もこの感想には納得できます。実際にサイレントリーグ開催中は、子どもたちの声が一日中会場に響きわたり、その声が止むことはありません。
不満顔を見せている保護者は、ほんの数人。駐車場で厳しく注意する保護者もいます。また、多くの仲間の前でそのような振る舞いを見せる保護者もいました。
その原因は何だったのか、僕には分かりません。でもこの保護者の振る舞いは、私たち大人が考え直し、正すべきだと思います。
サッカー だけじゃない
サイレントリーグは、少しずつ広がっています。子どもたちのスポーツ環境について、疑問を呈している指導者、保護者が動き始めています。
先日、滋賀県でラグビーのサイレントリーグもスタートしました。発起人の上田氏の勇気と行動力に尊敬の念を抱きます。
仲間とボールを繋ぎ、直向きにトライを目指す子どもたちの姿に胸が熱くなります。
今の時代、友情とか仲間とか少し古くさい言葉のように聞こえますが、私たち大人が次の世代へ伝えていかなければならない、大切な言葉ではないでしょうか。


指導者がいないサッカーの大会?と始めは誰もが疑っていました。しかし徐々にこの大会の深層部分にある本当の「目的」に気づきはじめています。
サイレントリーグは、子どもにとって本当に大切なものは何かというメッセージを与てくれます。
サイレントリーグが広まっていくよう、これからも活動を続けていきます。
